ボトックスを打ったが、効果が無かった。シワが消えない。
2017.04.10
プチ整形
患者様からのお悩み
瞼が重くなるなどの副作用はなかったのですが、額の下部の方の皺が深く、ボトックスを打つ前よりめだつようになってしまいました。ボトックスの量が少なくて、額の下部まで届かなかったのでしょうか?
※患者様からのご相談
ボトックスとは?
ボトックスはボツリヌス菌により産生されるA型ボツリヌス毒素を有効成分とする筋弛緩剤、つまり筋肉の収縮を抑制する薬剤です。神経と筋肉の接合部では、神経から筋肉に対して収縮を指令するアセチルコリンという物質が放出されます。ボトックスはこのアセチルコリンの放出を抑制することにより、筋肉の動きを止めるのです。
表情ジワができる仕組み
顔には表情筋と呼ばれる筋肉が張り巡らされています。この表情筋の動きによって表情ができるのです。そして、繰り返し筋肉を収縮させることが、シワを形成する要因となります。
表面に皮膚がありその下には筋肉があります。筋肉は収縮して縮み、弛緩すると伸びて元に戻ります。しかし、筋肉上を覆っている皮膚は伸び縮みをしない組織なので、筋肉が収縮した時に皮膚がよれることによりシワが形成されます。
シワに対するボトックス治療
表情ジワの原因は表情筋の収縮です。ボトックスはこの表情筋の動きを抑えることにより、シワの形成を防ぎます。
表情ジワのボトックス治療は3日ほどで効果が出始めて、持続は半年ほどです。ただし、一定の効果が半年まで持続するわけではありません。注入から一カ月程度が効果のピークで、その後は徐々に減弱していきます。そして半年ほどで効果はなくなります。
表情ジワの部位
表情ジワの部位と原因となる筋肉に関しては、下記の記事にて詳しく説明しております。
⇒ボトックスを打って表情が硬くなった。瞼が重くなった。目の開きが悪くなった。
簡単に例を挙げますと、額・眉間・目尻・鼻の付け根・上唇の縦ジワ・顎のうめぼしなど、顔全体に広がっている筋肉の働きによりシワが出てきます。
注入後の効果が感じられない理由4つ
① 量や位置の問題
ボトックス注入では、シワの部位による最適な薬剤の量が異なります。またシワの原因である表情筋の正確な位置を把握して、適した部位に打たなくてはなりません。当然、薬剤の量が足りなかったり、筋肉からずれて注入してしまうと効果が弱まったり、表情がおかしくなる原因となります。
一人一人に合わせた適切な注入量をご提案しております。
又、効果を出したい範囲に確実に注入できるよう、筋肉の位置を細かくデザインしてから注入をしております。
② 無表情でも残るシワ
前述の通り、ボトックスは筋肉の動きを止める薬剤です。
表情筋の動きが原因で生じるシワは、ボトックスで筋肉の動きを抑えることで改善します。ただし、表情筋の動きを何十年と長い年月繰り返していると、表情筋を動かしていない状態、いわゆる無表情の時でもシワが刻まれて残ってしまいます。、この無表情で残るシワはボトックスでは完全には改善しないことがあります。
そして無表情で残るシワを改善するにはヒアルロン酸の注入が必要になります。ただし、シワの部位や状態によって最適なヒアルロン酸の種類や注入方法が異なりますので、判断する医師の知識や経験が必要です。
③ 半年も効果が続かなかった
一般的にボトックスの効果の持続は半年程ですが、しっかり効いている期間が半年というわけではありません。注入後の最初の1ヶ月程が効果のピークで、その後緩やかに減弱し半年で効果が切れます。この為、効果の持続の感じ方に個人差があり、半年もつという方もいれば、少しでもシワがあると気になる方は早ければ3、4ヶ月でシワが気になってくる場合があります。逆に中には一年くらいで気になってくる方もいらっしゃいますから、半年というのはあくまでも目安と思って頂ければと思います。
また、効果がMAXで効いている最初の1ヶ月が好きと言う方もいれば、最初は効きすぎているけど少し効果がゆるんだ2~3か月頃が丁度良いと感じる方まで、患者様によって好みが様々です。その為、最初の一回目で「この治療は自分には合わない!」とボトックスの効果を判断するのではなく、自分の理想の効果に近づけるまで調節期間が必要という心掛けで治療を始められると良いでしょう。
④ ボトックス製剤の問題
ボトックス製剤の種類は様々ありますが、全てが高品質というわけではありません。
中には安全性や品質に疑問が残る製剤があるのが現実です。
このように品質が悪く効果が弱いものや、ムラがあり注入のたびに効果にばらつきが出る製剤が存在します。
- 当院では品質上の問題を改善する為に、ボトックスビスタを使用しております。
ボトックスビスタは日本国内で唯一、表情ジワ治療で厚生労働省が承認しているボツリヌストキシン製剤です。現在、米国、イギリス、ドイツ、フランスをはじめ世界91か国で承認されています。広く美容医療・アンチエイジングに使用されており、安全性や治療効果の面で品質上のメリットが大きい為、患者様にも安心して使っていただける製剤です。
《ボトックス製剤を製造する際に生じる誤差》
ボトックスに限らず皆さんに馴染みのある風邪薬でも痛み止めでも、あらゆる薬剤に共通して当てはまることがあります。実は製薬会社が薬剤を製造する際には「効果の誤差」が生じるのです。通常の効果を100%として、誤差の範囲は80~120%程度と言われています。80%と120%は意外と大きな差で、効果の実感として違いがはっきりわかってもおかしくはありません。つまり、ボトックス注射で毎回同じ量の薬剤を同じ位置に注入しても、ある時「今回はなんかいつもより効きが弱い」などということが起こり得るわけです。
やってはいけないボトックス注入部位
ほうれい線、ゴルゴ線、マリオネットライン
一口にシワの治療といっても、シワの原因によって治療法を使い分ける必要があります。
ボトックスも当然どこでも打って良いわけではありません。ボトックスは筋肉の動きを抑える薬剤ですから、表情筋が原因のシワ、つまり表情ジワには有効な治療法です。
しかし、同じく顔にできるシワでもほうれい線、ゴルゴ線、マリオネットラインは表情ジワではありません。確かに表情によって深く見えることもありますが、主な原因は加齢に伴う皮膚の下垂によるものです。つまり、これらのシワにボトックスを注入すると、あまり効果が得られなかったり、本来効いてはいけない筋肉の動きを止めてしまい表情が歪んでおかしくなってしまうリスクがあります。ほうれい線、ゴルゴ線、マリオネットラインは基本的にボトックスを打つことはめったにありませんが、美容外科を受診して万が一勧められた場合、効果やリスク、またあえてボトックスを選択する理由等しっかりと医師の話を聞かれた方が良いでしょう。
一般的にはほうれい線、ゴルゴ線、マリオネットラインにはヒアルロン酸注入がお奨めです。
⇒ヒアルロン酸治療(ほうれい線、ゴルゴ線、マリオネットライン)
《まとめ》
ボトックスという薬剤は適した治療を行えば、安全性も高く、手軽でダウンタイムも少なく、且つシワに対して非常に有効な治療法です。そして、医師であれば誰でも簡単に始められることから、現在多くのクリニックで当たり前のように行われている治療です。
しかし、これまで説明してきたように、注入部位や薬剤量などにより効果が十分に得られないケースや、しっかりリスクマネジメントをしていないと患者様が大きなデメリットを被る可能性も少なからず孕んでいるのです。この為、ボトックス治療を行う上では、豊富な経験と知識、確かな技術が医師側には求められます。
- この記事を読んで下さった皆様には、「ボトックスの注射なんて簡単だしどこでも一緒!」とは決して考えずに、カウンセリングで医師の話をしっかり聞き、そのクリニックでの取り組み方をご理解下さい。そして、信頼できそうな医師やクリニックを慎重に選ばれることをおすすめします。
この記事で取り上げているボトックスの施術について、
詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
【ボトックスの施術(水の森美容外科 公式サイトへ)】
2017.04.10
プチ整形
「1週間前後で食事のときに顎が疲れるようになる」と思っていたのですが特に変化もなく。
1ヶ月以上たたないと効果が出てこないのはわかっていたはずですが、効いていないのでは?と不安になってきました。ちなみに使用したのではアラガン社のものではありません(名前忘れてしまいました)