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患者様からのお悩み

エラボトックスで口角があがらなくなりました。
笑うとものすごく怖い顔になります。
エラボトックスをすると笑えなくなったりするもんですか??失敗ですか?今2週間がたちました。自然に笑えるようになるのにどのくらいかかるのでしょうか??実際に笑顔がおかしくなって戻ったという方がいましたら是非どのくらいで治ったかなど聞きたいです。とっても悩んでいます。お願いします。

以前ボトックス注射を額に打ち一気に瞼が垂れ下がりました。
眼の開き、大きさも全然異なってしまい、注射後に、目頭切開、埋没、瞼の脂肪除去取りをし、減量もしましたが、まだ瞼の脂肪が付いているせいか以前の様に目が開きません。注射を打つ前の様な目の大きさに 戻りたいんですが、 どの様な整形手術方法が有りますか?

※患者様からのご相談

ボトックス注射後の失敗例として上記のお悩みにもあるように、「笑顔がおかしくなってしまった」「顔がひきつる」や、「瞼が重くなってしまった」「二重が一重になってしまった」等、“本来効果を出したい部位以外に効いてしまう”という症例を大変多く耳にします。今回は、ボトックス治療の方法や失敗となってしまう要因について私、副院長西川が詳しく解説いたします。

ボトックスとは?

ボトックスは、ボツリヌス菌により産生されるA型ボツリヌス毒素を有効成分とする筋弛緩剤(きんしかんざい)、つまり筋肉の収縮を抑制する薬剤です。

神経と筋肉の接合部では、神経から筋肉に対して収縮を指令するアセチルコリンという物質が放出されます。ボトックスはこのアセチルコリンの放出を抑制することにより、筋肉の動きを止めるのです。

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表情ジワができる仕組み

顔には表情筋と呼ばれる筋肉が張り巡らされています。この表情筋の動きによって表情ができるのです。そして、繰り返し筋肉を収縮させることがシワを形成する要因となります。
シワ断面図
表面に皮膚がありその下には筋肉があります。
筋肉は収縮して縮み、弛緩すると伸びて元に戻ります。しかし、筋肉上を覆っている皮膚は伸び縮みをしない組織なので、筋肉が収縮した時に皮膚がヨレてシワが形成されます。

シワに対するボトックス治療

表情ジワの原因は表情筋の収縮です。
ボトックスはこの表情筋の動きを抑えることにより、シワの形成を防ぎます。
表情ジワのボトックス治療は3日ほどで効果が出始めて、持続は半年ほどです。ただし、一定の効果が半年まで持続するわけではありません。注入から一カ月程度が効果のピークで、その後は徐々に減弱していきます。そして半年ほどで効果はなくなります。

表情ジワの部位と原因となる筋肉

顔のしわ

額・眉間・目尻の表情ジワ

◆額の表情ジワは前頭筋(ぜんとうきん)が原因です。前頭筋は眉を上に引き上げる動きをしますが、その際に額に横ジワが形成されます。

◆眉間の表情ジワの原因は眉毛の上方に位置する皺眉筋(しゅうびきん)です。皺眉筋は眉を内側に引き締める動きをする為、眉間にハの字や縦のシワが形成されます。

◆目尻の表情ジワは眼輪筋(がんりんきん)の収縮によって生じます。眼輪筋は目の周りを同心円状に取り囲む筋肉です。眼輪筋は目を内向きに収縮します。ぎゅっと目を閉じたり、ニコっと笑うと目尻に俗にカラスの足跡と呼ばれる様な形状のシワが形成されます。また、同じく眼輪筋の収縮により目の下にもしわがよる場合があります。

額・眉間・目尻の表情ジワ

鼻の付け根・上唇・顎のうめぼしの表情ジワ

◆鼻の付け根には鼻根筋(びこんきん)があり、眉の内側を下に引き下げます。それにより鼻の付け根に横ジワが形成されます。

口輪筋(こうりんきん)は口の周りを取り囲むようについている筋肉です。口輪筋は口を閉じたりすぼめたりする際に使う筋肉です。口をすぼめると上唇の上に縦ジワが入ります。

◆下顎にはオトガイ筋があります。オトガイ筋は下顎部に梅干のような凸凹としたシワを作り、隆起させる筋肉です。
鼻の付け根・上唇・顎のうめぼしの表情ジワ
※解剖図はWikipediaより一部編集して引用しております。

表情がおかしくなるのは失敗?~その原因と当院での対策~

【額のボトックス】

額のシワに対する注入では、まぶたが重く感じる場合があります。人によっては、目が開けづらい、表情が硬い、怒ったように見える、と訴えられる方もいます。

なぜこの様な症状が生じるのかというと、一言で言うと効きすぎているからです。
額のシワができる原因は、眉を上に持ち上げる筋肉である前頭筋ですが、効きすぎて筋肉が全く動かなくなると眉を上げることが出来ずにまぶたが重く目が開けづらく感じてしまいます。また、人とコミュニケーションをとる時に眉毛を上げ下げして動かしていると表情が豊かに見えるのですが、眉が動かないことで表情が硬く怒っている様に見られてしまうのです。

ただしこの効きすぎている状態というのは悪いことばかりではなく、逆の考え方をすればシワに対する効果はかなりしっかり出ている状態であるとも言えるのです。
つまり、大切なのはバランスです。額のボトックス注射でベストな効果は、ある程度しっかりシワも消えて満足感があり、かつ、まぶたの重さが苦痛にならない状態と言えます。ただし、その丁度良い効き具合というのは個人差があり万人に共通しているわけではありません。そこが額のボトックス注入の難しいところでもあります。

額への注入では人それぞれ適したボトックス製剤の量や注入の位置が異なります。当院ではまず初回注入時は、大体の方が丁度良いという量や位置で注入します。ただし、その方に合う量や位置が決まるまでの数回は調節が必要となる可能性があります。時には初回はまぶたが重く感じたり、逆に効きが弱く感じることもありますが、前回の効果を参考にして次の注入時に調節を行うとさらに理想的な効果に近づきます。
ほとんどの方は1、2回の調節を行うとその方に丁度良い量や位置が決まるので、その後は毎回安定した効果が得られます。

また、当院ではこの調節方法や技術的な注入方法を全ての医師が統一して行なっています。技術統一にはどんなメリットがあるのかというと、例え医師が注入毎に違ったとしても、毎回安定した効果が得られるということです。しかし、同じクリニック内であっても統一しておらず、それぞれの医師によって注入のやり方が大きく異なっている場合があります。すると医師による効果のばらつきが生じてしまいます。また、仮に同じ医師が毎回注入したとしても、調節方法があやふやで定まっていないこともあります。すると患者様はいつまで経っても安定した効果を得ることがでません。

【眉間のボトックス】

眉間のボトックス注入でも額と同様にまぶたが重く感じるという方がいらっしゃいます。
実際には眉間のシワの元の皺眉筋自体は、効きすぎてもまぶたが重くなるわけではありません。ところが皺眉筋は前頭筋のすぐ下方に近接しています。この為、液体である薬剤が上方に流れてしまうと前頭筋に効いてしまいまぶたが重く感じることはあり得ます。
ただし、額の注入よりもその可能性は低いと言えます。

また、薬剤が下方に拡散すると眼瞼挙筋という開眼する筋肉に効いてしまいます。
この場合には目が開けづらいという症状が起こり得ます。

まずは注入する位置が重要です。
ピンポイントに目的の皺眉筋に注入しなくてはならないのですが、皺眉筋はそれほど大きくない為、注射がずれていると当然効果が弱まったり、さらには上の前頭筋や下の眼瞼挙筋に効いてしまいかねません。

これらを防ぐ為に、まずは皺眉筋の正確な位置を見極めてデザインします。さらには周囲への拡散を最小限に抑える為に、指で周囲を抑えながら注入を行います。

【額と眉間を同時に注入】

ボトックスを額と眉間に一緒に注入するとより前頭筋への効果が一層強まり、額に単独で注入する場合よりも更にまぶたが重く感じる可能性が高まります。
この為当院では、額と眉間のそれぞれに単独での注入と、額と眉間を同時に注入などパターンの違いに応じて薬剤の量を調節し、まぶたが重く感じる度合いを減少させるよう工夫しております。
また、額と眉間の同時注入時に、稀ではありますが下記図1のように“眉毛の外側の部分がつり上がる”という状態が起こる可能性があります。

【図1】
眉つりあがり

通常、額と眉間を注入すると下記図2(赤部位)の範囲に効果が出て筋肉が動かなくなるのですが、この原因は、眉毛の外側の筋肉(オレンジ部位)が動いてしまう為に起こります。
対処法として、つり上がっている部分(オレンジ部位)に少量のボトックスを追加することで改善されます。

【図2】
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【目尻のボトックス】

目尻のボトックス注入で起こりうるリスクは、目的の部分以外の筋肉に効いてしまうことです。例えば、上まぶたの筋肉に薬剤が拡散すると開眼、閉眼に影響が出たり、頬の筋肉に効いてしまうと笑う時に頬が挙げづらく表情に違和感が出ることがあります。

また、タレ目を目的としたボトックス注入というものは実際の施術として存在しますが、意図せず下まぶたの目の際に薬剤が効くと、まぶたのラインがたれ下がってしまい、中にはドライアイになる場合がありますので注意が必要です。
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【上唇のボトックス】

上唇のシワの原因は口輪筋の収縮です。口輪筋は口を閉じる時に使う筋肉ですので、この筋肉にボトックスが効きすぎてしまうと、唇の動きに違和感が出たり、口が閉じづらくなってしまいます注入の際には打つ位置が重要で、あまり唇から近いと副作用が出やすくなるし、離しすぎると効果が弱まってしまいます。

この為、当院では効果が十分得られかつ違和感などが出にくい、唇から、ある一定の間隔の位置で注入を行なっています。
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【うめぼし(顎)のボトックス】

うめぼしのシワは下唇から1.5〜2.0㎝程下方の下顎にできます。
この部分へのボトックス注入における注意点は、上唇の注入時と同様に下唇の筋肉である口輪筋に効いてしまうと唇の動きに違和感が出てくるという事です。

対策としては、やはり唇から一定の距離を置きつつ、かつ最適な効果が得られる位置に注入することが重要です。
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2017.04.09

プチ整形