美容外科の「最新」技術に効果はない。美容外科業界の現状と問題点
2017.05.07
美容医療が身近になりつつある近年、利用する患者様も増えていますが、それに伴い問題点も増えています。例えば、最新と呼ばれる技術や機器に加えて、専門医ではない美容外科の増加、価格競争など、様々な問題があります。当記事では、美容外科業界の現状と問題点について解説していきます。
施術の効果がいかに高く、患者様にとってメリットが多いかのような記述がありますが、安易に飛びつく前にこちらのページをしっかりご理解された上で最新治療を受けるかどうかを判断頂ければ幸いです。
美容外科業界の現状
メディアで発信される最新治療の裏事情
「テレビで紹介されているから安心」という考えは要注意です。
メディアで発信される情報は、CMなどで多額のスポンサーとして費用を落としているクリニックの宣伝をしている事が多く、殆どの情報は営利が絡んでいるというのが現実だからです。
そして、こういった最新治療、最新技術などに惹かれ、無駄な治療を受けてしまう患者様が後を絶たないというのが現状です。
営利が絡み合う社会ですから、美容外科に限らず、このような風習は昔からあるものです。
これは、現在の社会における問題点でもあり、きっと今後もなくならないでしょう。
少しでも無くしていく為には、患者様が正しい知識を持たれて、こういった治療に飛びつかないという事が大事です。
聞こえの良い最新治療の裏事情
以下に挙げる治療は、一見聞こえは良いですが、実際には殆ど効果がなかったり、あったとしても今までの治療に代わる効果を実感できるものはありません。
- 糸のリフト
- 金の糸
- 再生医療、PRP、FGF(※)
- 糸を鼻先に入れるだけで鼻先を細くしたり、伸ばしたりするという簡易的な手術
(※)現段階において美容医療としてはヒアルロン酸等に代わるほど「明らかな効果を認められるもの」としては確立していない、と当院では考えています。
その他にも、ベイザー脂肪吸引やコンデンスリッチ豊胸など、効果的には従来と対して変わらない治療や医療機器を、最新の効果の高いものとして高額な治療費で宣伝していたりします。
▶最新の脂肪吸引機器に関する裏事情の記事はこちら まだまだありますが、広告やメディアで宣伝されている代表的なものが上記の治療でしょう。
患者様もこういった治療には、すぐには飛びつかないようにしなくてはいけません。
これらの治療は、医師の技術というものを殆ど必要としません。
最新治療と医師の技量
極端に言えば、手技的には、医師でなくても1回見れば誰でも出来てしまうようなレベルの治療です。
医療法的には医師でないと行う事は出来ませんが、中身に関しては、それ位技術を要しない簡単な治療であるという事です。
しかし、美容外科の最新治療といわれるものは、殆どが、聞こえが良いだけで効果の乏しい治療ばかりです。
医師という看板を利用して、エステに毛の生えたレベルの治療が、「簡単」「手軽」「最新」などといって高額な治療費で沢山宣伝されているのが、今の美容外科の現状です。
何故、そのような治療ばかりが宣伝されるようになっているのでしょうか?
美容外科の現状
美容外科とはどういうもの?
美容外科とは、「外科」というだけあって、医療という外科手技を用いて物理的に形態を変えていくものです。
これはとても責任の重い仕事です。 最近では、美容外科ブームもあり、プチ整形という手軽に出来る治療も多数あります。
そういった施術を希望される患者様が大変多いのも事実です。 美容外科の技術は、身体にメスを入れるだけのもだけではありません。
こういった手軽に出来るプチ整形などの幅広い施術内容で、患者様のニーズに合わせて様々な対応が出来ます。
美容外科のブームと共に、美容外科医を志す医師達も増えました。
しかし、今の美容業界では、医師がしっかりと学べる医療機関というのが殆どないというのが現状です。 これは何故でしょう?
美容外科の医師にまつわる裏事情
美容外科を希望する患者様が増えている要因は、日本人の気質もあり、大半の患者様は手軽に出来る治療に惹かれる傾向があります。
すなわち正しい外科手術が必要とされる場合ではなく、簡単な治療で効果的な若返りを希望する患者様が多いのです。
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多くの美容外科では、しっかりと医師の育成が行われていないことも問題の1つです。
これには医師の育成をするよりも、経験の少ない医師達に簡単な治療を覚えてもらい、派手な広告で大量に集客し、治療をすることでクリニックが儲かるという現実があるからです。
他業界から参入してくる医師達も多いため、彼らは疑問を感じることなく、営利目的の診療体制を受け入れ、お金にまみれた医師へと育っていきます。
大量の医師を雇い入れ
↓
手軽に出来る治療に聞こえの良いキャッチフレーズを付けて、患者様を集客
↓
経験の少ない医師達に正しい指導もせぬまま大量の施術を行わせる
↓
大きな利益を得てクリニックを成長
上記のような実態があります。
利益主義の美容外科業界
大手チェーンクリニックを築き上げる経営者というのは、非常にビジネスの才覚があるのですが、医師としてのモラルに欠けている方が多いです。。
このような利益主義の美容外科に、良い美容外科技術が浸透しているはずはありません。
こういった背景があり、日本の美容外科医の技術レベルは大変低いものになっています。
最近では、美容外科ではなく、美容皮膚科が増えているのも、こういった背景が原因にあるのだと思います。
10年以上前に確立されている美容手術手技
美容手術手技は、欧米からの技術もあわせて、ほぼ確立されているものの、医師がこれらの手術手技を覚えていくには大変な労力と時間という努力が必要になります。
美容外科技術を身につけている医師はいても、クリニック全体に技術が浸透しているクリニックは殆どないのです。
正しい手術手技を医師が学び患者様の為に応用するというのが本来の医療のあるべき姿なのですが、今の美容外科業界は違います。
こういった技術の習得に労力をかけず、如何に聞こえの良い宣伝で患者様を集客する事ばかりに目が行っています。
その結果、差別化や集客を図るために、医師でなくても出来る位の簡易的な手技で行われる効果の伴わない治療が次々と出てきて宣伝されるという事に繋がっているのです。
美容外科業界がすべきこと・患者様がすべきこと
美容外科とは、悪い言い方をすれば、患者様のコンプレックスを利用して行う「コンプレックスビジネス」です。
コンプレックスビジネスは儲かるのです。
美容外科は、利益を生み出しやすい事業ですから、その利益に群がり沢山の人々が、美容外科にまつわる事業に参入してきます。
美容外科の技術商品にまつわる医療業者から、インターネットや広告にまつわる広告業者、美容外科紹介所など様々です。
人々のコンプレックスを解消するコンプレックスビジネスは世に必要なものであります。
しかし、コンプレックスビジネスに従事する我々は、根本は患者様の為にあるものだという事を、深く受け止めて仕事を行っていくべきです。
2017.05.07