最新の脂肪吸引機器《ベイザー脂肪吸引など》の裏事情
2017.08.16
美容外科業界では書くクリニックの方針のもと、常に新しい機器、サービス、情報をいち早く患者様に提供するために新しい取り組みとして常に最新機器の導入を検討するクリニックが多いようです。
また、新しい機器導入の際、集客のために宣伝や広告などを使って患者様にお知らせをするのは一般的なことになってきています。
ですが本当に、従来の機器と最新の機器では、違いに大きな差が出るのでしょうか。
今回は、脂肪吸引の最新機器『ベイザー脂肪吸引』の裏事情について解説していきます。
各クリニックのHPを見ていると、最近ではベイザー脂肪吸引などの宣伝をしているところが多いようです。
ベイザー脂肪吸引は「ベイザー波を当てて、脂肪を融解しながら脂肪を吸引していく為、従来では吸引出来なかったレベルでの脂肪吸引が可能である」と説明していますが、実際にはそんなことはありません。
美容外科業界は営利を追求し過ぎるあまり、こういったベイザー脂肪吸引も含め、それ以外にも聞こえが良いだけの最新機器の宣伝が、集客目的に次々と出てきます。
そして、飽きられたら消えるという事を、10年以上も前から繰り返されています。
以下に最新の脂肪吸引『ベイザー』の仕組みや手術方法から歴史について詳しく解説していきます。
脂肪吸引で失敗しないために
最新機器で行えば脂肪吸引は成功するのか?
答えは「NO」です。
ベイザーなどの最新機器により、脂肪吸引の精度が増している、という事実はありません。
脂肪吸引で成功か失敗か、それは担当する医師の技量によって結果が決まってきます。
決して、機械によって結果が左右されるものではないという事を知っておかなくてはいけません。
脂肪吸引機器の歴史
超音波脂肪吸引
10年以上前を振り返ると、まず始めに登場したのが超音波脂肪吸引でした。
超音波をあてながら脂肪吸引を行う事で、脂肪を柔らかくして吸引していく為、従来の脂肪吸引に比べ、効率良く沢山の脂肪を吸引出来るようになったとの宣伝が目立ちました。
次に登場したのは、ボディジェットという脂肪吸引機器です。
ボディジェット脂肪吸引
ボディジェットとはジェット水流を当てながら脂肪を吸引していくことで、ダメージを与えないように脂肪を粉砕しながら吸引していくことで従来の脂肪吸引より、効率良く沢山の脂肪を吸引出来るようになったという風に宣伝されていました。
そのほかにも、レーザーを当てながら脂肪を照射していくスマートリポなどの機器も登場してきましたが、今では殆どこれらの宣伝は見かけません。
最新機器はダイエット器具と同様?
こう考えると、ダイエット器具の宣伝に似ています。
ダイエット器具に関しては、何十年も前から、通販やテレホンショッピングなどで、常に新しい機器が出てきています宣伝されていますが、どれも似たり寄ったりで、特別画期的な効果の出るものなどはありません。
手術代金に関しても数千円のダイエット器具を買うのとは違いますし、何よりも、一生に一度というもので、何度も気軽に行うものではないのです。
こういったベイザー脂肪吸引や最新機器などの宣伝に惑わされないようにするためには、患者様も脂肪吸引について、ある程度の知識がなくてはいけません。
そこで以下に、患者様にもわかり易いように脂肪吸引の技術解説もしていきますので、ご参考ください。
脂肪吸引の手術方法
脂肪の構造について
脂肪の構造は以下のようになっております。
皮下脂肪とLFDといわれる2層で脂肪は構成されています。
皮下脂肪は繊維性隔壁といわれる繊維が網目状に張り巡らされていて、その隔壁の中に脂肪の粒が存在しています。
LFDは皮下脂肪とは違う性質のドロッとした脂肪となっております。
皮下脂肪とLFDは、体の部位や個人によっても比率は違っています。
凹凸しないように皮膚側に皮下脂肪をわずかに残して完了
①LFDの吸引
脂肪吸引のカニューレは以下の図のように、下側に吸引穴がついている為、吸引管の下側から脂肪を吸っている事になります。
カニューレの下側から脂肪を吸引していくため、LFDの下側にカニューレを挿入すると、LFDの下側の筋肉にダメージを与えてしまうため、出血や術後の痛みに繋がります。
ですから、皮下脂肪とLFDの間に吸引管を通し、筋肉にダメージを与えないように、効率良くLFDを吸引していきます。
LFDは皮下脂肪と違い柔らかい脂肪層なので、ベイザー波などで融解する必要などありません。
あくまで、LFDをしっかり見極めて吸引していくことが大事です。
吸引カニューレの下側に穴が向いていて、カニューレの下から脂肪が吸収されます。
②皮下脂肪の吸引
皮下脂肪層は繊維性隔壁の中に脂肪が存在するため、カニューレより天井側の繊維性隔壁を少しづつ崩しながら、各壁内にある脂肪を吸引していきます。
皮下脂肪を吸引する際は、皮膚にダメージを与えないように、皮下脂肪層の下層から少しづつ天井側を崩して薄くしていきます。
凹凸や合併症を防ぐために、皮膚側はわずかに脂肪を残した状態で終了となります。
ベイザー波を当てることで、繊維性隔壁が柔らかくなって脂肪を崩しやすくはなりますが、ベイザー波を当てて柔らかくするまでの時間がかかります。
この際、脂肪吸引に熟練した医師であれば、べイザー派を当てている間に、脂肪層を見極め的確に吸引することができます。
このように、層を見極めて吸引していくことに医師の熟練した技量が必要になってきます。
決してベイザー機器により、上手く吸引出来るわけではありません。
1本の吸引間で吸引していく難しさ
以下のように1本の吸引管で吸引していくという事は、平面の中でムラが出来てしまいます。
その為、脂肪吸引の基本的なテクニックとしてクリスクロス法というものがあります。
これは、カニューレを交差させて吸引していくことで、取りムラをなくし、まんべんなく吸引することが出来るという方法であり、考え方です。
こういった基本の考え方を、しっかり取り入れていく必要があります。
この考えを更に発展させ、吸引しにくい部位や、絶対取り残してはいけない部位などは何方向からも吸引することもあります。
クリスクロス法は従来より、すでに確立された脂肪吸引のテクニックです。
しかし、実際にはこのテクニックを正しく使いこなしている医師は少ないのです
又、カニューレで吸引する際は以下のように多少なりとも角度がついてしまうため、部分によって上側の脂肪がとりにくかったりする部分が出てきます。
先ほどの平面の取りムラ以外に、層の取りムラが出来てしまいます。
こういった層の取りムラに対しても、クリスクロス法を的確に用いて、均一に脂肪を吸引していく操作が必要になってきます。
脂肪吸引を行う際には、このクリスクロス法を如何に使いこなすかが結果に左右します。
決してベイザー波を当てたから、良い結果に繋がるものではないのです。
上記以外にも、綺麗なボディラインを作るためには、しっかり吸引する部分と、吸引し過ぎてはいけない部分なども見極めながら吸引していかなくてはいけません。
そこには医師の様々な創意と工夫が結果として表れてくるのです。
繰り返しになりますが、決して最新機器で吸引したから良い効果が出るなどという事は全くないのです。
最近の最新機器の傾向
近年、ますます導入が増えているベイザー脂肪吸引
最近では、脂肪吸引=ベイザーと考える方も多く、導入するクリニックはますます増加傾向にあります。
その為、インターネットで脂肪吸引について調べてみると、ベイザー脂肪吸引の宣伝をしているクリニックのHPや記事が多数出てきます。
そういった記事を沢山目にしているうちに、気づくとベイザー脂肪吸引に誘導されていることがあります。
「ベイザー脂肪吸引を使用することで、術後の腫れや内出血が軽減できる」
「あなたの脂肪は堅そうなのでベイザーでないと吸引出来ません」
などという言葉を目にした事もあるのではないでしょうか。
VASER(ベイザー)脂肪吸引とは
そもそもベイザーと呼ばれるVASER(ベイザー)脂肪吸引の仕組みをご存知でしょうか。
「ベイザー」とは「ベイザー波」という超音波を出す機器の名前のことを言います。
この機器を使った脂肪吸引を「ベイザー脂肪吸引」と呼びます。
ベイザー脂肪吸引機器の本来の役割とは
実際ベイザーを使用している医師からは下記のような声が聞かれます。
「施術の道具として使用しやすい」
ベイザー波で脂肪を溶かしてくれるので、医師の技術で脂肪層を見極める必要がない、というわけです。
医師としては、使いやすい道具を好むのは当然のことです。
どのような道具を選択するかは医師次第ですので、使いやすいという目的でベイザー機器を使用するのであれば、何ら問題はありません。
― 効果としては全く違いがない。医師の技術が脂肪吸引の結果を左右する
これがベイザーと、カニューレのみの吸引を比較した場合の当院の見解です。
術後の効果に関する違い
ベイザー脂肪吸引でよく目にする広告文その①
ベイザーは「ベイザー波」と呼ばれる超音波で脂肪を溶かします。
そのため、これまで吸引できなかった部分の脂肪まで吸引することができる、という意味です。
しかし、カニューレでも医師の技術があれば、技術がない意志では吸引できない部分までしっかりと吸引し効果を出すことが可能なのです。
逆に言えば、ベイザーを使っても身体や脂肪の構造など解剖学の知識不足だったり、脂肪吸引の経験が少なければ、取り残しなど失敗の原因につながる可能性があります。
ダウンタイム(内出血や浮腫み)に関する違い
ベイザー脂肪吸引でよく目にする広告文その②
この要因として、
- 細胞壁・血管・索状組織へのダメージが少ない為、出血が少ない
- 吸引の時間が短いためダウンタイムが短い
という点が挙げられています。
しかし、身体の構造を熟知していれば細胞などに対してのダメージは避けられます。
また、吸引の時間に関しては実際ほとんど違いがありません。
なぜならベイザー波で脂肪を溶かさなくても、脂肪層を見極めてしっかりとカニューレで吸引すれば結果は同じだからです。
効果を出したければ、しっかりと時間をかけて吸引するしか方法がありません。
ベイザー脂肪吸引のランク付け
現在殆どのクリニックでは、通常の脂肪吸引と比較すると、ベイザー脂肪吸引を高いランクとして料金が設定されています。
通常(ベイザー以外)の脂肪吸引で来院された患者様に対しては、ベイザー脂肪吸引に誘導して利益を上げるといった営業をしています。
高額なベイザー機器の購入代金を回収し、かつ医師も楽に施術ができるのであれば、クリニック側としてはベイザー脂肪吸引をお勧めしたくなるのは納得です。
美容外科業界の最新機器と患者様の選択
美容外科業界では、脂肪吸引に限らず、こういった最新機器が次々と出てきます。
しかし、殆どは集客目的の為の聞こえの良い商品で、実際に効果は変わらないものが多いように思います。
機器を開発・販売している業者の方は最新機器をクリニックに売ることで利益を得ています。
又、クリニックも差別化を図ることで患者様を集客できます。
もちろん、最新の機器の中には効果的で納得のいく施術の手助けになるものもあるでしょう。
しかし、従来の機器とさほど効果が変わらない最新機器で利益を得る業者やクリニックが存在する代わりに、患者様にしわ寄せがきているのも事実です。
患者様が正しい施術を適正な価格で受けるために
実際に足を運び、直接カウンセリングを受けてみてください。
そうすることで良い治療を受けることのできるクリニックや施術を選択する目が養われるはずです。
患者様ご自身が正しい知識を習得し、しっかりと情報を見極める目をもつことだと考えます。
2017.08.16